義肢
義肢とは、外傷や病気などで手足を失った場合に用いる人工の手足です。主に義手と義足に大別されています。どちらとも生体と義肢とのインターフェイスとなるソケットと呼ばれる部分は、使用者の装着感だけにとどまらず、その義肢の目的を達成するために非常に重要な役割を持っています。義肢装具士はそのソケットの採型、適合を行い、様々な部品で構成される義肢全体の調整を行います。義手は外見の再現を考えた装飾用と、日常の生活を行うために動作させることのできる能動用があります。また、特定の作業に特化した作業用というものもあります。最近では、先端技術を用いて、細かな動作も可能な義手も研究されています。 義足は、切断した下肢に装着する義肢です。多くの義足は歩行を目的としています。歩行能力によって構成部品を選択し、調整していきます。義足は活動的な方から、安定性を重視する方まで、様々なニーズに応じて製作されます。
装具
装具は、外傷や病気のために四肢・体幹の機能に問題が生じた場合に使用されます。目的は装具によって様々ですが、病気やケガの治療を目的とするものや、後遺症により失われた機能を代償するために用いられるものがあります。デザインや種類が非常に多く、装具の目的を実現するのと同時に、生活様式に応じた工夫をすることもあります。
1.頸椎装具とは?
頸部の支持や免荷、運動制限を目的とする装具である。2.どのような外傷や疾患に対して適応となるのか?
●外傷・・・外傷性頸部症候群、頸髄損傷など●疾患・・・頸椎骨軟骨症、後縦靭帯骨化症、頸部椎間板ヘルニア、環軸椎亜脱臼
他にも頸椎前方固定術、椎弓形成術、椎弓切除術、腫瘍摘出術など、頸椎手術後の外固定として重要な位置を占めている。
3.種類
○頸椎カラー頸部の運動制限を目的とした、頸部に巻くタイプの装具。前後屈は制限される が回旋は制限されない。
○フィラデルフィア
下顎と後頭部を覆い、上部胸郭で支える装具。頸椎カラーよりも運動制限力は 高い。
○SOMI
前胸部に固定された3本の支柱で頭部を支える装具。ベッド上での取り付けも可能である。
○その他
金属フレームでできたワイヤータイプなども存在する。
4.装着時の注意点
・後方は後頭骨の乳様突起から後頭骨を支える・下顎骨の後方を支えるように調整
・下顎を包み込んで装着するタイプの装具は開口動作を
妨げないよう、軽く口が開く程度に調整
・頸部は圧迫しすぎないよう注意
・肩の運動制限が生じないようにトリミング
などが挙げられる。
広く『コルセット』の名称で呼ばれている装具です。
その主な目的として
1. 弱った筋肉や不安定な関節を支え立位・座位 2. 障害がある部分を適切な位置に固定・もしくは 3. 体の筋肉のバランスの崩れや、重力または麻痺 4. コルセットに矯正装置を取り付け変形して |
また『コルセット』は腹圧を高める(お腹を押さえる)ことで背骨にかかる負担を軽減しています。
体幹装具はそのデザインにより様々な種類があり硬性コルセット・半硬性コルセット・軟性コルセットなどに大別され、整形外科医師が背骨の疾患・骨折などの状態を確認・検討しこれらのコルセットの中から最適な体幹装具を処方されます。
硬性コルセット
主に硬度が高いプラスチックや金属で構成されており強固な固定・保持・矯正を目的とした際に処方される。軟性コルセット
主に布生地やメッシュ素材などで構成されるよく見ることが出来るいわゆる『コルセット』軽度の固定や保持などを目的として処方される。上肢装具とは、肩から手部にかけて装着する装具であり、ほとんどが関節の動き を制限または補助する役割をもっています。
肩外転装具
適応疾患:腱板損傷など。
肩関節の手術後に外転位に保持する治療用装具で、ネジによって角度を調整することができます。
プラスチックでモールドされた体幹・上腕・前腕の支持部を金属支柱で連結してあります。
上腕ファンクショナル装具・肘装具
上腕ファンクショナルブレース
適応疾患:上腕骨骨折骨折した上腕をプラスチックで覆い、全体的に圧力をかけることによって骨の整復・固定します。
肘装具
適応疾患;肘関節脱臼骨折脱臼した肘関節の内外旋の防止、前腕の回内回外制限の場合は手掌部まで作製して固定します。
手関節背屈装具
適応疾患:手根管症候群、橈骨神経麻痺など
手関節を軽度背屈位に保持します。プラスチックの支持部には穴を開け、通気性を良くしてあります。
ダイナミックスプリント
適応疾患:手指腱損傷
手指屈筋腱・伸筋腱損傷後、ゴムで牽引し、指の拘縮を予防します。ゴムの本数を変えることで牽引力を調整することができます。
マレットフィンガースプリント
適応疾患:槌指
股関節装具
先天性股関節脱臼装具新生児から乳児に発見される股関節脱臼に用いる装具である。
リーメンビューゲル
von Rosen型副子
バチュラー型装具
ペルテス病装具
小児大腿骨頭に起こる虚血性壊死で、原因は不明である。4~7歳の男児に多くほとんどが片側性である。
患側の大腿骨頭の免荷とcntainmentを図る目的で装具を装着する。
SPOC装具
ポーゴスチック
骨盤帯付き長下肢装具
高位脊髄損傷者の交互歩行のために開発された装具である。パラウォーカー
RGO
ARGO
長下肢装具
大腿部より足底に及ぶ構造をもち膝関節、足関節の動きを制御する。膝折れ、骨折などの病状で歩行が困難な場合に装着する。膝関節には輪止めを用いて伸展位でロックし、起立、歩行しやすくすることもある。膝装具
靭帯の損傷や半月板損傷や膝関節の術後などに用いる。内外側に支柱があり、大腿部、下腿部は可動性の継手でつながる。病態によって、継手の種類や、追加されるベルトが異なる。
短下肢装具
下腿部より足底に及ぶ構造をもち足関節の動きを制御するもの。使用目的は足関節、足部の変形矯正、変形の予防、病的組織の保護、失われた機能の補填である。プラスチック装具 |
PTB短下肢装具
膝蓋靭帯、膝窩部で体重を支えることにより、下腿部、足部を免荷する。主に骨折時に使用される。
内反足装具
先天性内反足は下腿に対して足部が内反していて、踵骨は上方に上がり徒手では矯正困難な変形が出生時に認められる。短下肢装具(板ばね式)
デニスブラウン
アーチサポート
扁平足一般的には著しく足の縦アーチが低下したのものを言うが、実際は外反足、外反扁平足、回内足、偏平足などを総称している。
踵骨棘、足底腱膜炎
踵骨の内側底面に付着する足底腱膜に、繰り返す牽引力が加わって、その起始部に腱膜炎や骨膜炎を生じて疼痛が起こる。起立時、長途歩行時に踵部疼痛がある。
踵骨骨折
高所からの転落により、踵部を打撲して起こる圧迫骨折で両側性の事も多い。
メタタルザルサポート
中足骨骨折重量物を落として足部にあてた場合の直達外力と前足部が捻転された場合の介達外力による場合がある。
外反母趾
靴や靴下の着用する近年の生活様式の変化によって、急速に増加している。縦アーチ、横アーチの低下した偏平足、中足骨内反、中足骨頭の円形化、基節骨外反、種子骨の回内変形などがお互いに密接に関連し合って発症している。
ケーラー病
4歳~8歳の男児に好発する足舟状骨骨核の一過性の無腐性壊死で2年程の経過で自然治癒する。初期には舟状骨部に一致して運動痛と圧痛が出現し、軽度の腫脹や跛行もみられる。
フライバーグ病、第2ケーラー病
中足骨骨頭の無腐性骨壊死で、第2中足骨に多くついで第3・4中足骨にも発生する。
モートン病
第3・4中足骨骨頭間で趾神経が圧迫されて起こる絞扼性神経障害をいう。狭い靴をはくと疼痛があらわれ、趾間に圧痛が存在し末梢領域に知覚傷害も認められる。
ラテラルウエッジ
60歳前後の女性が誘因なく膝の痛みや運動障害、膝に水が溜まるなどの症状を訴え、明らかな原因が認められない。膝関節の硬ばる感じを初徴とするものが多く、長く正座したり、あぐらをかいたあとに立ち上がった時に疼痛や、膝の伸びが悪いことを訴える。疼痛は膝関節の内側、あるいは膝蓋骨の周辺にあり、膝窩部に緊張を訴えるものもある。ミディアルウエッジ
外反膝変形性膝関節症などの疾患の外側型(X脚)。
リフトアップ
脚長差・・・先天性の疾患あるいは術後などに左右の下肢の長さの違いがある。トルクヒール
うちわ歩行(toe-in gait)内旋歩行とも呼ばれる。歩行時に下肢の内旋がある。原因は大腿骨の前捻角増強、下腿の内捻、前足部の内転などがある。
足の変形矯正、痛みを和らげるために使用する目的で使われます。
靴型装具の種類
靴は足を覆う高さによって長靴・半長靴・チャッカ靴・短靴に分けます。
長靴
ブーツの様に高さがふくらはぎの3分の2位までかかるもで、紐・ファスナー・マジックテープで締めるようなものです。半長靴
ショートブーツのようにくるぶしを覆う高さのもので、紐・ファスナー・マジックテープで締めるようなものです。チャッカ靴
バスケットシューズのようにくるぶしの高さくらいまでの高さのものです紐・マジックテープで締めるようなものです。短靴
一般の靴の高さでくるぶしの高さより低い靴です。整形靴
医師の処方に基づき疼痛のない圧力分散、変形の矯正などを採寸・採型をしてレディーメードの靴を用いておこなう。特殊靴
既製の靴では対応できない変形した足部に対し、足の型を取り特定の患者に対し適合させた靴。 座位保持装置
通常のいすや車いすでは姿勢を保つことがむずかしい方向けに、座位保持装置というニーズがあります。たとえば、これまで上肢(腕)で身体を支えていた方が、座位保持装置を用いることで手を使って食事・パソコン操作ができるようになる、正面を向いて会話を楽しむことができる、こういった変化をもたらすためのツールが座位保持装置です。
車いす
一般的な車いすは、福祉用具取扱店など専門業者のほか、ホームセンターでも販売されている。電動型は障害者個人の特性に合わせ、専門業者からカスタマイズ販売されることが多い。
価格は手動車いすで1万円前後~50万円超、電動車いすでは30万円~300万円超と幅広い。なお、福祉機器であるため、本体について消費税は課せられない。
主な助成制度としては以下のものがあるが、スポーツなどに特化した車椅子は対象とならない。
・障害者自立支援法による補装具費の支給。
・労働災害による給付事業。
・介護保険法による福祉用具レンタル制度(販売店に常任の福祉用具専門相談員がいる事が条件)
レディメイド(既製品)
大量生産され、ホームセンター等で安価に販売されている鉄製の車いす。調整個所が限定される為、あらかじめ用意されたサイズから選択する。背シートは平面であるため、重度の身体障害者、体幹の変形が著しい者には適合が困難である。オーダーメイド
身体寸法(手足の長さ)や四肢の可動範囲、使用目的を鑑みて、メーカーで受注生産されるもの。完成までの期間が長いが、本人の身体に合わせて製作されるために良好な適合が得られる。ただし、調整機構を持たない部分は身体の変化に適応できない。医師の処方、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の助言を受けることが望ましい。モジュール型(セミオーダー)
車輪の取付位置や車体の幅、レッグレスト、アームレストなどの高さ・位置・形状などを後に変更できるよう、あらかじめ製作された各パーツモジュールにより組み上げたもの。ほとんどの箇所を調整可能としたフルモジュールと車輪位置など限られた部分のみ調整可能にした簡易モジュールがある。パーツ交換により自操式から介助式へ変更したりもでき、モデルによっては現場で調整・仕様変更が可能。調整部位が増える事により、調整機構のない車いすに較べると重くなりやすいのが欠点である。なお、車いす交付の際には「オーダーメイド車いす」に分類される。
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